調達から設計、生産まで全工程で品質にこだわる

写真

品質保証部 田中さん

東洋工芸から出荷される製品は、田中さんが部⻑を務める品質保証部によって、その質が担保されています。1976年入社の田中さんが培ってきた幅広い経験が当社の品質保証にどう生かさせているのか、今回は田中さんの品質に対する視座やこだわりに迫ります。

失敗を恐れず、前例がないものに挑む

入社当時は製造部へ配属されましたが、1年後には品質管理を担う部門に配属され、その後は生産管理や生産技術、調達などを経験し、現在の品質保証部の責任者を務めることになりました。品質に関わっている述べ年数は25年以上です。

これまでのキャリアで特に印象深かった仕事は2つ。

一つ目は、2000年頃に海外からの部材調達を増やした時です。当時の私の立場は調達部でしたが、調達で重要な点はやはり品質。今まで国内の仕入先に出向いて、生産方法や工程を勉強させてもらうなど「目で見る」機会をたくさん得ていましたので、その経験を活かし、海外メーカーの姿勢や管理方法を丁寧に確認しました。

二つ目は、木製品の生産に関するプロジェクトです。
東洋工芸は昔から金属製の家具が生産の中心でしたが、2010年頃に木製品の海外生産を行うプロジェクトが立ち上がりました。
品質保証の立場からすると、品質の基準や完成検査の方法を決め、品質検査を実施するなどの工程は金属製品と同じであるものの、それまで当社では木製品の生産の前例がなく「木材の不良とはどういうものか」などを一から学ばなければならない状況でした。
 木材に関する勉強をし、製品各部のグレード別けを行い、品質の基準を設定しました。

写真

これらの取り組みは、当社にとって大きく流れを変えるきっかけとなり、現在の大手企業様からのお取引や金属製品だけでない多彩な商品ラインアップへとつながっています。

ものづくりの進化は、品質の進化

先に述べた視察などを含め、これまでに出張で訪れた国はアジア7カ国で、渡航回数は50近くになります。単身で出張に行く場合は、自分で判断しなければならないことも多く、責任が伴い楽ではありませんが、新しい土地でその土地の方々に出会うことができるのはいいものですね。
写真
25年以上、アジアの工場との取引でものづくりの変遷を見てきましたが、進化のスピードが速いと感じています。かつては品質基準を満たすために指導することも多かったですが、現在では品質も安定してきており、「指導」ではなく「競業」という関係に変わってきていると感じます。

品質とは、バラつきを管理するということ。
検査だけでは、不良品はなくなりませんので、設計でカバーできるところは設計でカバーし、治具でカバーできるところは治具でカバーするなど全工程において品質を求めていかなければなりません。
現在は若いメンバーが中心となって、過去の失敗データをデータベース化し、その経験を次の商品の生産に活かしています。
後輩たちには、常にどこか改善できるところはないか、お客様の視点で日々のものづくりを見続けてほしいと思います。

2022年5月掲載